泰三子が『ハコヅメ』に続いて挑んだ新作『だんドーン』は、日本の近代警察を築いた川路利良を主人公に据え、幕末から明治の激動を描く歴史漫画です。
ユーモラスな表現と重厚な時代考証を併せ持ち、一部の読者からは「革新的で面白い」と絶賛される一方、「読みにくい」「前作と違いすぎる」と戸惑う声も少なくありません。
たとえば、歴史ものに苦手意識があり途中で読むのをやめてしまった方や、『ハコヅメ』の延長線を期待して読み始めたものの、その雰囲気の違いに戸惑ったという声。
あるいは、評判は聞くけれど、自分に合うかどうかがわからず、なかなか読み始められないという方もいるかもしれません。
本記事では、こうした読者の疑問や不安に寄り添いながら、『だんドーン』が「つまらない」と言われる理由、「面白い」と評価される理由の両面からその実像を丁寧に読み解きます。
この記事を読むとわかること
- 『だんドーン』が「つまらない」「面白い」と意見が分かれる理由
- どんな人がこの作品を楽しんでいるのか
- 自分に向いている作品かどうかを見きわめるヒント
作品概要と時代背景
幕末から明治初期の日本史上でも屈指の激動期を舞台に描かれるのが、泰三子による歴史漫画『だんドーン』です。
主人公は、日本警察の礎を築いた実在の人物・川路利良。政治、制度、そして情報戦が交錯する緊迫感の中で、人間模様が丁寧に浮かび上がっていきます。
タイトルに込められた音と時代の象徴性、史実を大胆に取り入れたキャラクター構成、そして現代的な視点を交えた演出が、本作ならではの独特な読後感を生み出しています。
歴史に詳しい読者はもちろん、苦手意識のある層にも届くよう、ギャグとシリアスの絶妙なバランスが巧みに設計されているのも大きな特徴です。
まず作者・泰三子の人物像と作品の基本情報、そして物語の軸となる川路利良について詳しく掘り下げていきます。

歴史の時代背景だけでも難しそうですが、初心者でも楽しめますか?



本作はギャグや現代視点を織り交ぜているので、歴史初心者でも読みやすい工夫がされています。物語を楽しみつつ、自然に幕末〜明治の雰囲気を味わえます。
作者情報と作品概要
泰三子は、元警察官という異色のキャリアを持つ漫画家です。在職中は似顔絵捜査官として勤務し、人間観察や現場感覚を養ってきました。その経験は、後の漫画表現にも大きな影響を与えています。
漫画執筆の経験はなかったものの、2017年に『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』で鮮烈なデビューを果たし、リアルな警察描写と軽妙な会話劇で注目を集めました。同作はドラマ化・アニメ化されるなど、大ヒット作となりました。
その泰三子が、夫の急逝を乗り越え挑んだのが『だんドーン』です。モーニングでの連載開始は当初2022年10月の予定でしたが、連載は2023年6月にスタート。
本作では、舞台を現代から幕末へと大きく移し、日本警察の父・川路利良を主人公とした歴史群像劇に挑んでいます。
重厚なテーマを扱いながらも、随所にユーモアが織り込まれており、前作で培った人間ドラマの描写力がそのまま活かされているのが本作の持ち味です。



連載時期がずれた理由は?何か背景があるのでしょうか?



夫の急逝による作者の心境の変化や作品の方向性調整など、様々な事情があったようですね。それを乗り越えた強い思いと共に、この幕末版で再挑戦している印象です。
「だんドーン」というタイトルの意味
『だんドーン』というタイトルには、音と時代の象徴が巧みに重ねられています。
第1話では、薩摩藩士たちが鳴らす太鼓の音「ダン ドーン」が印象的に描かれます。
歴史の転換点である「桜田門外の変」でも、銃声の効果音として同じ「ダン ドーン」が使われており、この音が物語の中で繰り返し登場する象徴的なモチーフとして響きます。
また、ローマ字表記の “dan-dawn” には、“done(終わり)”と“dawn(夜明け)”という意味が重ねられているという読者の考察もあります。
これは作者が明言したわけではありませんが、作中にはその象徴性が巧みにちりばめられており、タイトルに深い意味が込められていると感じさせます。
実際、作者・泰三子は「最後にタイトルを回収できるように頑張って描きます」と語っており、物語の終盤にこの言葉が重要な形で回収される構想があることも示されています。
さらに、薩摩弁の語尾「〜どん」や、「だん」といった響きが地域的な色彩を帯びている点にも注目です。音・文化・時代、そして感情までも内包するこのタイトルには、登場人物や読者の心に訴えかけるような多層的な意味が込められています。
言葉選び一つひとつにまで、作品の深い意図が凝縮されているのです。



タイトルの「だんドーン」って何か意味があるんですか?



はい、「だんドーン」は作中で印象的に使われる太鼓や銃声の音を象徴しており、物語の節目や緊張感を高める役割を果たしています。また、終わりと始まりを示す英単語の掛け合わせも含意されています。
川路利良とは誰か?
川路利良(かわじ としよし)は、明治初期に日本の近代警察制度を築いた人物で、「日本警察の父」と称されます。1834年、薩摩藩に生まれ、後に初代大警視(現在の警視総監に相当)に任命されました。
幕末の動乱期には軍事と政治の両面で活躍し、西南戦争では警視隊を率いて西郷隆盛軍と戦うなど、その行動力は突出しています。
欧州視察を通じて得た知識をもとに日本の治安制度を改革し、『警察手眼』という語録を残しました。これは現在でも警察官の教本として参照される存在です。
『だんドーン』では、川路の若き日々を軸に、彼がいかにして近代国家の制度づくりに関わっていったのか、その出発点を描いています。
史実に基づくドラマチックな展開と、現代的な視点が融合し、歴史の人物が立体的に浮かび上がるよう工夫されています。



川路利良って、そんなに有名な人物なんですか?



実は歴史に詳しい人には知られていますが、一般にはあまり知られていません。ですが、日本の警察制度の礎を築いた重要人物で、作品ではその若き日々に焦点が当てられています。
モデル人物たちの素顔:太郎と“怪物タカ”
『だんドーン』で読者の関心を集めるのが、“太郎”と“怪物タカ”こと村山たかです。どちらも実在の人物を明確に踏まえて描かれており、作品全体のリアリティと説得力を強く支えています。
太郎は、川路利良のそばで行動する少年で、冷静な判断力と鋭い観察眼を持つ人物。作中では大久保利通の家に迎えられる描写があり、実在の人物・中村太郎がモデルとされています。
理想と現実のはざまで揺れながら成長していく、次世代の象徴として物語を支えます。
一方の村山たかは、多賀者(彦根藩の密偵)として情報戦を担うキーパーソン。冷徹さと知略により“怪物”と恐れられる彼女は、安政の大獄を陰で支えた密偵・村山たか女がモデルです。作中でも、情報戦の中核として圧倒的な存在感を放っています。
こうした史実を土台にしたキャラクター造形が、物語にリアリティと深みをもたらしているのは、本作の大きな魅力のひとつです。



モデルになった人物がいるってことは、実話に近い内容なんですか?



そうです。多くの登場人物が実在の人物に基づいており、物語の骨格も史実を踏まえて構成されています。そのうえで、創作的要素が加えられ、リアリティとドラマ性が両立しています。
「つまらない」と評価される3つの理由
読者の間で賛否が分かれる『だんドーン』。熱烈な支持がある一方で、「つまらない」「難解すぎる」といった否定的な声も少なくありません。そうした“つまらない”という評価がどこから生まれるのかを多角的に分析していきます。
SNSやレビューサイトの投稿をもとに、読解の難しさや物語のテンポ感、そして前作『ハコヅメ』との作風の違いなど、読者が感じる違和感の具体的な背景に迫ります。
単なる批判として片付けるのではなく、読み手の立場からその理由を掘り下げることで、作品への理解や再評価につながるヒントを探っていきます。



読者さん:「つまらない」と感じる人がいるのはなぜですか?



専門家:背景にあるのは、歴史知識のハードルやストーリー構成の重厚さなどです。簡単に読める作品ではない分、慣れない読者には難しく感じられることがあります。
歴史や登場人物への知識が必要で難解
『だんドーン』が「つまらない」と感じられてしまう一因として、読解に求められる知識の高さがあります。
物語の舞台が幕末というだけでなく、作中には実在の歴史人物や制度、政治的用語が頻繁に登場するため、ある程度の事前知識がないと、話についていくのが難しいという声が多く寄せられています。
SNSでも「登場人物が多すぎて誰が誰か分からない」「幕末ものは苦手で読みにくい」といった意見が目立ちます。
特に、現代劇だった『ハコヅメ』と比べると、時代背景の複雑さが壁となり、ライトな読者層には敷居が高く感じられるようです。
とはいえ、「歴史に詳しくなくても楽しめた」という感想もあり、読み進めるうちに自然と物語に引き込まれる読者も少なくありません。
このギャップこそが評価の分かれ目であり、難解さを乗り越える“読解のコツ”が求められているともいえるでしょう。



歴史に詳しくないと読み進めるのは難しいですか?



最初は戸惑うかもしれませんが、作品の中で説明も多く、読み進めながら徐々に理解できる構成になっています。登場人物の関係性を整理しながら読むとより楽しめます。
物語のテンポ・構成が合わない
『だんドーン』への否定的な声の中でも、物語のテンポや構成についての指摘は特に多く見られます。「展開が遅い」「会話が冗長」「何を描きたいのか分かりにくい」などの意見は、読者レビューやSNSで繰り返し言及されています。
物語は、歴史背景や登場人物の心理描写に重点を置いているため、読者によってはストーリーの進行が停滞しているように映ることも。
川路利良の視点だけでなく、複数のキャラクター視点を切り替えながら描かれる構成は、物語の流れを掴みにくくさせ、やや不親切に感じる読者もいるようです。
現代的なテンポ感やキャッチーな展開を求める層にとっては、間延びしていると受け止められることも少なくありません。
この“間”そのものが人物の掘り下げや時代背景の重厚さを生む重要な演出であり、その意図を理解すると作品の印象は大きく変わってきます。



展開が遅く感じるのはなぜですか?



キャラクターの心理描写や背景説明を丁寧に描いているため、展開がスピーディではないんです。その分、人物の深みや時代背景がしっかり伝わる構成になっています。
『ハコヅメ』との作風の違いに戸惑う
前作『ハコヅメ』で泰三子の作品に魅了された読者の中には、『だんドーン』の作風の違いに戸惑いを覚えた人も少なくありません。
『ハコヅメ』は現代の警察官の日常をリアルかつユーモラスに描いたコメディ色の強い作品で、親しみやすいテンポやキャラクターが支持を集めました。
そのイメージのまま『だんドーン』を手に取った読者にとっては、政治や制度、重厚な人間関係が主軸となる本作の雰囲気が予想外だったようです。
「思っていたのと違う」「ハコヅメのノリを期待していたから驚いた」といった声も見受けられます。
このように、前作からの期待と実際の内容とのギャップが、“つまらない”と感じる要因につながっているケースもあるのです。
とはいえ、歴史物としての新たな挑戦を高く評価する声も多く、受け手のスタンスによって評価が大きく分かれる作品であることは間違いありません。



『ハコヅメ』とかなり雰囲気が違うんですか?



はい、『だんドーン』は歴史を背景にした重厚な人間ドラマが中心です。前作のような軽快なノリを期待しているとギャップがあるかもしれませんが、それも泰三子の新しい挑戦の一部です。
「面白い」と絶賛される理由
『だんドーン』には、「歴史漫画の傑作」「笑って泣ける名作」といった高い評価の声も数多く寄せられています。
読者が魅力として挙げるのは、ギャグと史実が絶妙に融合した構成や、人間味あふれるキャラクター描写、さらには制度改革や政治の舞台裏に迫る知的な視点などです。
「読み進めるほどにハマる」「今までの歴史漫画とは違う視点が新鮮」といった感想もあり、深く読み込むことで魅力が増していくタイプの作品だといえるでしょう。
このセクションでは、肯定的な評価の背景を詳しく掘り下げながら、『だんドーン』がなぜ一部の読者にとって唯一無二の魅力を放つのかを具体的に解説していきます。



歴史漫画って固いイメージがあるけど、どんなところが「面白い」んですか?



本作は重厚なテーマにギャグ要素を織り交ぜているのが大きな魅力です。キャラクター同士のやり取りや人間ドラマが豊かで、読者をぐっと引き込みます。
ギャグと歴史の絶妙なバランス
『だんドーン』の最大の魅力のひとつが、歴史の重厚さとギャグの軽快さを巧みに組み合わせた“緩急ある構成”です。
血なまぐさい幕末の時代を描きながらも、キャラクター同士のやり取りには思わず笑ってしまうようなユーモアが散りばめられています。このバランスの良さが、読者に心地よい読書体験をもたらしています。
特に川路利良や太郎といった主要キャラクターが、シリアスな局面でも軽口を交えながら場面を転がしていく様子は、物語の緊張感をうまく和らげています。
「焼酎の口移し」や「だんドーンの擬音演出」など、印象に残るギャグシーンが作品全体に彩りを加えており、ただの歴史再現にとどまらないエンタメ性を実現しています。
さらに、作者・泰三子が元警察官として培った視点を活かし、現代的な感覚を取り入れた言葉選びやセリフ回しも読者の共感を呼んでいます。
笑いがあるからこそ、シリアスな場面の重みが際立ち、物語の密度をより一層高めているのです。



重い歴史テーマにギャグって、違和感はないんですか?



逆にそのギャップが良いアクセントになっています。笑いのある場面があるからこそ、シリアスな場面の重みがより際立つんです。
キャラクター描写の深さと人間ドラマ
『だんドーン』を高く評価する読者の多くが、「登場人物たちの人間味に引き込まれる」と語ります。
主人公・川路利良をはじめ、太郎や怪物タカといった登場人物たちは史実を基にしながらも、泰三子の筆によって豊かな内面を丁寧に描かれています。
たとえば、政治的責任と個人の信念の狭間で揺れる川路の葛藤や、太郎が手に入れた居場所への思いとその喪失感など、読者の感情に訴えるエピソードが随所にちりばめられています。
ギャグの裏に垣間見える哀しみや、登場人物たちが背負う過去の重みも丁寧に表現されており、彼らを単なる歴史上の人物以上に感じさせてくれます。
「3巻から一気に感情移入した」「それぞれの正義や苦悩が伝わってくる」といった読者レビューも多く、群像劇としての完成度の高さが伺えます。
キャラクターの“魅せ方”が非常に巧みだからこそ、彼らが生きた時代そのものがリアルに浮かび上がってくるのです。



歴史上の人物って堅そうなイメージだけど、感情移入できるんですか?



本作ではキャラクターの葛藤や苦悩が細やかに描かれており、史実の人物でも非常に人間らしく感じられる構成になっています。読み進めるほどに感情移入しやすくなりますよ。
制度・政治描写のリアリティと知的興奮
『だんドーン』が評価されるもうひとつの大きな理由は、制度改革や政治の舞台裏をリアルに描いている点です。
物語では、警察制度の創設や徴兵令、戸籍制度の整備といった、近代国家の形成に欠かせない政策が、具体的な背景や人間関係とともに丁寧に描かれます。
こうした描写により、単なるフィクションを超えた“知的興奮”を感じる読者も少なくありません。
川路利良が大久保利通や西郷隆盛といった歴史上の人物たちとどのような関係を築き、どのような思想で動いていたかが明快に描かれており、歴史的文脈を深く理解できる構成となっています。
複雑な制度をわかりやすく説明する会話劇や、現代の社会制度と比較しながら読めるような工夫も随所に光ります。
レビューには「歴史を学び直すきっかけになった」「今の制度の原点がわかって面白い」といった声が寄せられ、エンタメ作品でありながら深い読み応えを備えた作品であることが証明されています。



制度や政治って難しそうだけど、ちゃんと理解できる内容ですか?



作中ではキャラクターの会話を通じて丁寧に説明されているので、制度や歴史に詳しくなくても自然と理解が深まります。知的好奇心が刺激される構成になっていますよ。
読者のタイプで評価が分かれる理由
『だんドーン』の評価が「面白い」と「つまらない」に二分される背景には、読者の知識レベルや読み方のスタンス、さらには前作からの期待の違いなど、さまざまな要因が関係しています。
作品そのものの質だけでなく、「誰が」「どのような姿勢で」読むのかによって、受け取り方が大きく変わるのです。
歴史に詳しい読者と初心者、泰三子作品のファンと新規読者、それぞれの読解傾向の違いに注目し、評価が分かれる理由を深掘りしていきます。



どうして人によって評価がこんなに分かれるんですか?



読者の知識や期待、読み方の姿勢によって同じ作品でも感じ方が変わるんです。特に歴史作品ではこの違いが顕著に現れます。
歴史初心者 vs 歴史好き:情報処理量の違い
『だんドーン』の“読みやすさ”は、読者の歴史知識の量によって大きく左右されます。歴史好きな読者にとっては、登場人物や出来事の背景が既に頭に入っているため、物語の細部までスムーズに楽しめます。
歴史にあまり馴染みのない読者には、人物名や制度、政治背景が次々と登場する展開がハードルとなり、理解が追いつかなくなることもあります。
実際に、「登場人物の関係性が把握できない」「何の話か分からなくなった」といった声も少なくありません。
こうした“情報量の多さ”こそが本作の魅力でもあります。一度理解が深まると、作品の奥行きや面白さが一気に増していく構造になっているのです。
読者の知識レベルに応じて体験が変わる仕掛けは、挑戦的でありながらも、学びのある読書体験を提供してくれます。



歴史好きの人と初心者で、そんなに違いが出るものなんですか?



はい、大きく違いが出ます。知識があると物語の背景を理解しやすく、より深く楽しめます。一方で初心者にはやや敷居が高く感じられることもあるんです。
泰三子ファン vs 新規読者:期待値のズレ
『だんドーン』の評価に大きく影響しているのが、作者・泰三子に対する事前の期待です。
前作『ハコヅメ』は、警察の日常をコミカルに描いた現代劇で、多くの読者に親しまれてきました。この流れで本作を手に取った読者の中には、「またテンポの良いコメディだろう」と思った人も多かったようです。
しかし『だんドーン』は、舞台を幕末に移し、制度改革や人間関係の重厚な描写に重きを置いた作品です。
前作のようなライトな展開を期待していた読者にとっては、「思っていたのと違った」「笑える話じゃなかった」という戸惑いが生まれるのも無理はありません。
泰三子作品を初めて読む読者や、歴史漫画に新鮮な視点を求めていた層からは、「意外性があって面白い」「歴史が苦手でも読めた」といった評価が目立ちます。
既存ファンと新規読者では本作に抱く期待や評価の基準が異なっており、それが賛否の分かれにつながっているのです。



前作ファンの期待と実際の内容にギャップがあるんですね?



その通りです。『だんドーン』はジャンルもトーンも異なるため、同じ作者の作品でも印象がガラッと変わります。ただ、そのギャップが新たな魅力になることもあります。
この作品を楽しめる人・楽しめない人
『だんドーン』が読者によって賛否の分かれる作品である以上、自分にとってこの作品が“合う”かどうかを見極めることは重要です。
作品の構成や描写の特徴から、どのような読者に向いているのか、逆にどんな読者にはハードルが高いのかを整理して紹介します。
「興味はあるけど読むか迷っている」という人に向けて、読み進める際のヒントや判断材料も提案します。自分の読書スタイルと照らし合わせながら、読むかどうかの参考にしてみてください



自分に合う作品かどうかって、どう判断したらいいですか?



読書スタイルや好みのジャンルによって向き不向きがあります。歴史や制度に興味があるか、テンポの遅さを楽しめるかが判断材料になりますよ。
この作品を楽しめる人の特徴
『だんドーン』がピッタリとハマるのは、歴史や制度、人間関係の裏側に興味を持つ読者です。特に、幕末から明治という社会変革の時代に関心があり、制度の成り立ちや政治家たちの葛藤に知的好奇心をくすぐられるタイプには非常に向いています。
派手な展開よりも人物描写の積み重ねや心理描写をじっくり追いたい人や、ギャグとシリアスのバランスを楽しめる読者にも好評です。「読むほどに深みが出てくる」「実在の人物が軸なので勉強にもなる」といったレビューも多く見られます。
泰三子作品特有のテンポ感や“間”の取り方に慣れている人にとっては、本作の演出も味わい深く感じられるはずです。知的な読みごたえと感情移入の両方を楽しみたい人にとって、『だんドーン』はまさにうってつけの一冊といえるでしょう。



歴史が好きな人以外でも楽しめますか?



はい、制度や人間ドラマに興味がある方や、じっくり読み込むタイプの読者なら楽しめます。歴史の知識がなくても、読み進めるうちに引き込まれる構成になっていますよ。
楽しめない可能性がある人の特徴
『だんドーン』が合わないと感じる読者に多いのは、「テンポの良さ」や「分かりやすいストーリー展開」を重視するタイプです。
特に、読書にスピード感や刺激を求める人にとっては、重厚なテーマや丁寧な描写が「間延びしている」「難しくて入り込めない」と映るかもしれません。
登場人物が多く、史実に基づいたエピソードが次々に展開されるため、「気軽に読める漫画」を期待していた読者には、少しハードルが高く感じられる可能性もあります。
実際、「1巻でつまずいた」「人物が多すぎて把握できない」といった声も上がっています。
前作『ハコヅメ』のような明快なストーリーや親しみやすいキャラ描写を求める人には、本作の雰囲気が大きく異なるため、違和感を覚えるかもしれません。
つまり、本作は“読み応えを楽しむ人”向けの作品であり、テンポ重視の読者には慎重な判断が必要です。



読みやすさを重視する人には向かないかも?



その通りです。テンポ重視の方や、ストレートなストーリーを求めている方には難しく感じるかもしれません。じっくり読める方向けです。
どちらか迷っている人への判断ポイント
『だんドーン』を読むかどうか迷っている人にとって大切なのは、「どこまで読めば自分に合うか判断できるか」という基準です。
読者レビューを参考にすると、物語や登場人物への愛着が生まれるのは3巻以降という声が多く見られます。
太郎が物語に深く関わっていくると、人間ドラマとしての色が強まり、感情移入しやすくなるのが特徴です。
読み始める前に幕末史の大まかな流れや、川路利良・大久保利通・西郷隆盛といった主要人物の名前を軽く押さえておくだけでも、物語への理解が格段に深まります。
さらに、「テンポが重く感じる」という人には、1話ずつではなく数話まとめて読む“イッキ読み”が向いているという声もあります。
まずは2〜3巻をセットで読んでみて、世界観やキャラクター描写が自分に合うかを確かめるのがおすすめです。一度ハマれば、読み進めるほどに味が出てくる作品です。



最初の方は少し難しく感じたんですが、最後まで読めるか不安です…



最初は情報量が多く感じるかもしれませんが、物語が進むにつれて登場人物や関係性が深まり、自然と引き込まれていく構成になっています。少しずつでも続けてみると、面白さがじわじわ感じられるはずですよ。
issyによる『だんドーン』の深層考察:「だんドーン つまらない」の本当の意味


「『だんドーン』ってつまらないって聞いたけど、本当?」そんな声がSNSやレビューでチラホラ見られる作品。
でも、ちょっと待って!その“つまらなさ”の裏には、実は読者と作品との“視点のズレ”が隠れてるんだよね
記事本文では、幕末の制度改革を真正面から描いた本作の重厚さと、ユーモアを交えた人間ドラマのバランスが紹介されていたけど、実はそこが評価の分かれ目にもなってる。
本考察では、そうした“否定的評価”の正体を冷静に整理しつつ、泰三子作品としての挑戦と進化をどう読み解くべきかを、陽キャブロガーissyの視点で明るく、でもマジメに深掘りしていくよ!
歴史知識が壁になる?実は「仕掛け」としての難解さ
記事でも触れられてたように、『だんドーン』の“つまらない”評価の一因は「難解さ」。幕末という歴史の転換期を舞台に、多数の実在人物や制度、政治的キーワードが飛び交う構成は、確かに一見するとハードルが高い。
でも、これは単なる知識不足で読めない漫画ってわけじゃなくて、「読者に“調べる楽しさ”を与える構造」として仕掛けられてるとも言えるんだよね。
たとえば川路利良という人物にフォーカスすることで、読者は「なぜ今の警察制度があるのか」を自然と掘り下げることになる。
この知的刺激こそが、泰三子が『ハコヅメ』から『だんドーン』へと舵を切った理由じゃないかとも考えられる。つまり、あえて“入口”を狭めた分、入った後の「読書体験の深さ」で勝負してる作品ってわけ。
最初の“分かりにくさ”は、「物語の仕掛け」として用意された“越えるべきハードル”と見るべきだね。
テンポの「遅さ」=人物ドラマの“熟成時間”だった!
“つまらない”理由としてよく挙げられるのが、「テンポの遅さ」。確かに、現代的テンポの漫画に慣れてる人にとっては、川路の内面描写や会話劇の“間合い”がまどろっこしく感じるかもしれない。
でも実はこの“間延び感”、本作が描こうとしている“人物の変化”や“決断の重さ”を浮き彫りにするための演出なんだよね。
たとえば、川路がただの薩摩藩士から、日本警察の基礎を築く大警視へと成長していく中で、彼がどう悩み、何に怒り、何に涙するか。
それを丁寧に描くには、あえて物語のテンポを「熟成」させる必要がある。これはグルメで言う「煮込み料理」みたいなもので、サクッと読めるファストフード系漫画とは一線を画すスタイル。
つまり、“テンポの悪さ”は「味わいの深さ」に直結してるってことなんだ。
「つまらない」という評価は、むしろ“読む価値”の証明?
最終的に、「つまらない」という声は作品の失敗ではなくて、「読者のスタンスを選ぶ挑戦的な作風」への戸惑いの表れとも言える。
記事でも触れられてたように、『ハコヅメ』のような軽妙な会話劇を期待して手に取った人にとっては、本作の“重さ”や“制度的テーマ”は予想外だったかもしれない。
でもそれって逆に、作者・泰三子が“同じことを繰り返さない”姿勢を見せたって証拠でもある。しかも、ただ難解なだけじゃなくて、ギャグも入ってるし、登場人物たちの人間関係や心理描写もめちゃくちゃ丁寧。
読者レビューでも「3巻から一気に引き込まれた」って声があるように、これは“入口が狭く奥が深い”作品。だからこそ、「つまらない」と感じた人こそ、もう一歩踏み込んで読んでみてほしい。
そこには、じっくり煮込んだスープみたいな“作品の旨味”が待ってるから!
『だんドーン』は、ただの歴史漫画じゃない。「難しい」と言われるその正体を知れば知るほど、“味のある”漫画であることがわかってくる。
issyとして言わせてもらえば、「つまらない」ってのは、“まだハマれてない”ってだけなんだよね。読書の旅は、ちょっとした乗り越えポイントを過ぎたところからが、本当の冒険の始まり。
さあ、君も一緒に“ダン・ドーン”の世界に、夜明けの一歩を踏み出してみよう!
よくある質問
- 「だんドーン」とはどういう意味ですか?
-
作者によると、川路の陣太鼓や鹿児島弁の「〜どん」、擬音「ダン!ドーン!」が由来です。タイトルには他にも意味が込められており、物語の終盤で明かされる可能性があります。
- だんドーン太郎のモデルは誰ですか?
-
大久保利通に引き取られた史実の少年・中村太郎がモデルと考えられています。
- だんドーンはいつ完結しますか?
-
2025年6月時点で連載中。完結日は発表されていません。
- だんドーンの聖地はどこですか?
-
物語が史実を基にしているため、作中に登場する様々な場所が「聖地」となっています。
まとめ
この記事では、泰三子の歴史漫画『だんドーン』について、その作品背景や評価の分かれ目を詳しく解説しました
- 主人公は「日本警察の父」川路利良、幕末の激動期を舞台に描く
- 「つまらない」との声は、知識やテンポ感へのハードルが原因
- 「面白い」と感じる読者は、制度改革や人間描写の深さに魅了されている
- 読者の歴史理解度や前作『ハコヅメ』とのギャップが評価を分ける
- 中盤以降の“熟成された人間ドラマ”にハマる読者も多い
『だんドーン』は、深く読み込むほどに味わいが増す作品です。歴史の舞台裏に興味がある方は、ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。



結局、『だんドーン』ってどんな人におすすめなんですか?



歴史や制度に関心がある人、重厚な人間ドラマをじっくり楽しみたい人にぴったりです。知的な読み応えがある作品なので、考察好きにもおすすめですよ。
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